親族が死亡した場合、死亡した時点で当該親族に帰属していた一切の権利・義務関係が、相続人に包括的に承継されます。
相続人となる者は、遺言に記載がない場合、民法に規定されている順番となります。
そのため、被相続人が土地を所有している場合には、その土地を相続人が承継することになります。
もっとも、土地を相続すると、当該土地を手放すまでは管理をしなければならず、また、固定資産税がかかります。
不要な土地であれば、これを相続する必要がなく、相続放棄を希望する方も少なくないでしょう。
このページでは、不要な土地の相続放棄をすることは可能なのか、その注意点も併せて解説いたします。
不要な土地の相続放棄は可能か
まず、前提として、相続が生じたときには、「単純承認」「相続放棄」「限定承認」を行うことができ、一定期間内に相続放棄や限定承認をおこなわない場合には、単純承認したものとみなされます。
相続放棄とは、相続人たる地位を、相続が生じた時点から失うもので、相続人ではなくなる以上、一切の相続をしないこととなります。
そのため、相続放棄をすると、不要な土地の相続を行わないで済みます。
不要な土地を相続放棄する際の注意点
- ①相続放棄には期限がある
- 相続放棄は、相続が生じたことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に行わなければなりません。
この期間内に結論を出せない場合には、家庭裁判所に必要書類に必要事項を記載したうえで、期間の伸長を求めることができます。
相続人は、遺産として何が残されているのか調査を行い、プラスの遺産とマイナスの遺産のどちらが多いのかなどを考えたうえで、相続放棄・限定承認の決断をすることになり、意外にも時間が足りなくなります。 - ②全ての財産を放棄することになる
- 相続放棄は、個別の財産に対してするものではなく、相続人たる地位全体に対して行うものです。
そのため、土地以外に相続したい財産があったとしても、土地のみを特定して相続放棄をすることはできません。
もし、相続したうえで土地を手放したいのであれば、遺産分割協議で、土地の共有持分を手放すことが考えられます。
また、相続後に売却や譲渡をすることも自由です。
もっとも、相続人が自分しかいない場合には、遺産分割協議はないため、相続放棄をしない限り、土地を相続することになります。
また、不要な土地と考えるのは自身だけではない場合が多いため、引き受け手が見つからないこともあり、しっかりと土地の価値、潜在的効用を調査することが求められます。 - ③相続放棄の撤回はできない
- 相続放棄を一度行ってしまうと、上記3か月の期間内であっても相続放棄を撤回することはできません。
そのため、相続放棄をする前に、本当に相続放棄を行うべきなのかよく検討する必要があります。 - ④他の相続人らに影響を及ぼすおそれがある
- 他の相続人らとの関係からみると、自身が相続放棄を行うと、ほかの相続人らの相続分がプラスの遺産とマイナスの遺産で区別されることなく増えることになります。
相続人は、身内であるため、その内部での紛争はできるだけ避けたいものです。
相続の手続きは複雑かつ長期に及ぶため、自身が相続人から離脱して、他の相続人達の相続分が増えることになる場合には、他の相続人に連絡をしたうえで行うことが重要であるといえます。
相続問題にお困りの方は小川昌宏法律事務所までご相談ください
相続があった場合には、一定期間内に相続放棄を行うべきか判断したうえで、適切な手続きを行うことが求められます。
そして、相続は突然起こるものなので、十分に相続の準備をして臨むことが困難な場合も少なくありません。
そのような状況で、本当に相続放棄するべきなのか判断をして、適切に期間内に手続きを行うことは自身では困難な場合が多いです。
そこで、相続問題に詳しい弁護士に相談することで、弁護士がお困りの方の立場に立って、適切な助言を行うことが期待できます。
お困りの方は、弁護士に早期に相談するようにしましょう。
小川昌宏法律事務所は、お客様の抱えている問題に真摯に取り組み、最善のリーガルソリューションを提案いたします。
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小川昌宏法律事務所(東京都港区/新橋)|不要な土地を相続放棄することは可能?注意点も併せて解説