「著作権」とは、著作者が自ら創造した作品を他人に無断でコピーされたり、インターネット上で利用されない権利のことをいいます。
AIの発達に伴い、AIに入力されるプロンプトが「複製」にあたり著作権を侵害するのではないか、あるいは生成AIによって出力された著作物に著作権が認められるか、認められるとして誰に認められるかなど、著作権に関する論点が重要視されています。
著作物に著作権が発生し、当該権利が侵害された場合には、著作権者は侵害者に対して差し止めや損害賠償の請求を行うことができます。
このページでは、著作権侵害となる要件と押さえておくべきポイントをご紹介いたします。
著作権侵害の要件と押さえておくべきポイント
著作権侵害の要件は以下の4点です。
①著作物であること
②侵害行為に依拠性が認められること
③侵害行為に類似性が認められること
④著作物の使用について権限を有していないこと
①著作物であること
著作物にはさまざまな種類があります。
- 言語の著作物
- 小説、論文、脚本、詩、レポート、講演など
- 音楽の著作物
- 楽曲の作曲や歌詞の作詞など
- 舞踊や無言劇の著作物
- 日本舞踊、バレエ、ダンス、パントマイムの振り付けなど
- 美術の著作物
- 絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など
- 建築の著作物
- 芸術的な建造物など
- 地図や図形の著作物
- 地図、学術的な図面、設計図、図表、模型など
- 映画の著作物
- 劇場用映画やテレビ映画、ビデオ、ゲームソフトなど
- 写真の著作物
- 写真やグラビアなど
- プログラムの著作物
- コンピュータ・プログラムなど
- 二次的著作物
- 原作の小説を映画化したものや翻訳、編曲など
- 編集著作物
- 百科事典、新聞、雑誌、辞書、詩集などの編集物
- データベースの著作物
- 上記の編集著作物でコンピュータ検索が可能なもの
ここで押さえておくべきポイントは、著作権は、何らの申請手続きを経ることなく、著作物の著作と同時に発生し、創作者の死後70年間保持されるということです。
②侵害行為に依拠性が認められること
依拠性とは、既存の著作物を参考にして侵害行為を行ったことをさします。
著作物を作る際に著作権の存在する著作物を参考にしたのかどうか問題となります。
ここで押さえておくべきポイントは、諸般の事情を考慮して、偶然的一致にとどまっていれば依拠性は認められないということです。
例えば、既存の著作物に触れる機会がなかった場合などが挙げられます。
③侵害行為に類似性が認められること
著作物を無断でコピーしたり、ネット上でアップする行為や、既存の著作物に類似する著作物を製作する行為は著作権の侵害行為となりえます。
ここで押さえておくべきポイントは、類似性とは、既存の著作物の独自的な表現の部分が利用されていることをいい、ありふれた表現部分が類似しているだけでは、類似性の要件を満たさないということです。
このありふれた表現部分にあたるかどうかをめぐって、しばしば争いが生じます。
④著作物の使用について権限を有していないこと
およそすべての著作物の利用(依拠性や類似性を満たす)が許されないわけではなく、使用についての権限を有している場合には、著作権侵害行為に当たりません。
また、著作権を有している者に、利用の許可を得た場合には、著作物を利用しても著作権侵害には当たりません。
そのほか、著作権を譲り受けた場合も当然著作物を自由に利用できます。
著作権は、著作物の財産的な利益を保護する『著作権』と、著作物に対して持つ人格的な利益を保護する『著作者人格権』の2種類に分類されるところ、前者については、譲渡が自由とされています。
著作権侵害にお困りの方は小川昌宏法律事務所までご相談ください
著作権侵害の要件を充足する行為があったかどうかは直ちに判断することが難しく、専門的な検討を必要とします。
すなわち、著作物性が認められているのか、侵害行為に依拠性・類似性が認められているかどうかなど、過去の事例などを参考にしながら専門的な検討を行うことが求められます。
そして、著作権に詳しい弁護士に相談をすることで、適切な助言を受けることが期待できます。
小川昌宏法律事務所は、お客様の抱えている問題に真摯に取り組み、最善のリーガルソリューションを提案いたします。
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小川昌宏法律事務所(東京都港区/新橋)|著作権侵害の要件とは?押さえておくべきポイントを解説